発達障害児支援現場レポート―実践者のつぶやき―

アクセスカウンタ

zoom RSS 小学校の特別支援教育この一年

<<   作成日時 : 2009/03/23 07:09   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

 今年度も、リソースセンターoneの仕事よりも様々なところにお伺いすることの方がずっと多かった1年でした。


ことに、年間相当数伺う、今年でかかわり2年目の幼稚園と、その子どもたちの多くが入学する、今年度からかかわった小学校の一貫特別支援では考えることの多い1年でした。


幼稚園については、極めて有能な特別支援教育コーディネーターの先生を中心とした申し分ない体制で、私自身が驚くほどの成果があがり、講演会や論文、本などにその実践を紹介して間接的にでもこの園以外の現場にお役にたつことができたように思います。


園の子どもたちを2年間継続で見ることができ、他の子と大きく変わらない程成長を見せた子どもたちに対し、育て上げた感を幾らかでも実感しながら小学校へ送り出すという感慨深い年度末となりました。


また、小学校の特別支援にもかかわることができたおかげで、今回初めて幼・小の申し送り会議も実施していただいて、かたちの上では一貫支援の第一歩を踏み出すことができました。



 さて、小学校の特別支援教育は、戸惑いの中一喜一憂しながら1年が終わったというところでしょうか。

有能な支援員を配置して一年生となった子どもは、意識・内面の成長が著しく、ひとまず成功といえるでしょう。
ほとんど支援体制がないところから、2学期から学期に1回の支援検討会がもたれ、リソースルームの設置もしてくださり、園同様、担任の先生と何度か打ち合わせをして個別指導計画も立てました。来年度から特別支援の対象とした方がよい子を決める校内委員会ももたれました。



ある視点から見れば成果があったようにも見えます。
しかし、私としては惨敗を認めなくてはなりません。



その理由は、先生方と肝心の理念の共有ができなかったから・・・。


幼稚園では、ケース会議に園長先生、コーディネーターの先生、担任、支援員さんが必ず参加し、個々のケースを通じて、先生方は苦しみながら驚異の速さで子ども観・保育観の転換をしてくださいました。

コーディネーターの先生をして、「今までの保育は何だったのか」といわしめた程の大転換だったのです。

みんなとは違う発達の道筋をとる子に対し、集団の中でその子の“独自の発達を保障する ”ことの必要性をご理解くださり、そして、それが自らの責任であることを引き受けてくださった。

これが特別支援教育の理念だと思っています。

特に「責任」・・・できたらやるけど・・・ではなく、やらねばならぬ。



しかし、残念ながら小学校ではこの転換の機会をつくることができませんでした。

学校には、昔からいわゆる特殊学級(現特別支援学級)と通常級が存在しました。このシステムは幼児教育には基本的にありません。学校では、いわゆる“普通”と“普通以外”を分ける基準の優先順位として、@集団行動A学力というものがあり、このどちらか、もしくは両方においてある一定の基準から外れた子は、通常教育の責任外となってきた長い長い歴史と伝統があります。


学校が子どもたちに合わせて変わるのではなく、通常級とはこういうところで、それに合わない場合は、子どもが別の所へ行く。知的に遅れのない子であれば、病院か療育機関へ。そのためには親の理解が必要、という発想。
だから、学校で事を起こさせない「先回り対応」は、現在のところ銀河の果ての発想。



また、たとえば脳機能の未成熟による欲求のコントロールの微妙な困難や脳機能の特徴による想定外・許容範囲外の事象についてのパニックはいわゆる「わがまま」とされ、伝統的な教育手法である「叱る・褒める・慣れさせる」による対応が定番でした。

先生方の構成により、この意識が強い学校もあれば、そうでもない学校もあるでしょう。


このような歴史と伝統に裏打ちされた教育観の転換は、並大抵のことでは難しい。
でもその転換がなければ、苦手のある子を健やかに育てるのは難しい。



しかし、学校は生き馬の目を抜くような忙しさ、なかなか先生方とこれを共有する時間がとれない。
先生(上原)と話したい先生はいっぱいいるのだけれど、時間が・・・というお話を何度もいただきました。


小学校では、幼稚園のように、先生方と私が一体感をもって支援にあたることは難しかった。
先生方はみな子どもを伸ばそうと一生懸命です。先生方と私が対立しているわけではなく、あくまでも理念の共有という意味で、同じ方向を向いているように見えて、実は根本がズレているという感じ。



そんな現場の現状とは裏腹に、この自治体では来年度から巡回時数がまた増えます。
時数を増やすだけでなく、先生方がケース会議に割ける時間の確保の体制を整えることも併せて行わなければ、絵にかいた餅。

ケース会議の時間の確保だけでなく、先生方が心の余裕をもって、意識の転換にのぞめる勤務体制もほしい。
まぁ、ないものねだりですが。



そんな中、今年度の私の救いは、この小学校のある先生の変化。


園も学校も、基本的に前期・後期に個別指導計画を立てることをコアとしてスーパーバイズをしているので、小学校の場合、対象児の担任の先生以外の先生とお話しできるのは、月一回あるかないか。

3学期の中盤、言動が目立つ子を数人含むクラス運営を相談にいらした先生は、私との話のあと、「すっきりした〜」「あぁ〜、もっと早くお話できればよかった〜」と言われ、職員室でこぶしを突き上げ大きな声で、「あしたから私は変わるぞ〜!!」と雄叫びをあげられました。


来年度、小学校では巡回の仕方を変えよえかと思っています。
私が個別指導計画立案に関与するかたちだと、かなりシステマティクに巡回日程を立て、ケース会議時間数も多くなります。これが却って先生方のプレッシャーになるのではないかと思うからです。


多くの巡回の方がやっていらっしゃるように、もっとアバウトに日程を決め、雄叫びをあげた先生のように、個別指導計画とは関係なく、いわばビジター予約を中心にしようかと。まだ決まっていませんが。


精度の高い特別支援から考えれば、大きな大きな後退です。しかし、学校の、先生方の実情に合わないスーパーバイズでは成果はあがらないでしょう。急がば回れ。すぐに答えを出したい性格の私ですが、ここ数年で少し大人になりました。忍耐、忍耐。


まずは、一人でも多くの先生が、大きな声で、または心の中で雄叫びを上げてくださることを目指し、来年度の構想を練る私です。




にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ

障害児応援検索エンジンゆっくりねっとサーチ






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
小学校の特別支援教育この一年 発達障害児支援現場レポート―実践者のつぶやき―/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる